日本刀について②

日本刀について

このエントリは、2018年の6月に書かれた「日本刀について①」の続きにあたります。

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西洋のロングソードと比べて脆い

というネタを調べるために、いろいろ書籍にあたり歴史を調べてみました。

古今東西問わず、合戦(戦争)に勝利するために武器は進化しており、武器から身を守るために防具が発展しています。
日本の武器と防具、欧州の武器と防具の歴史を紐解いてみると本題を忘れてしまうくらい興味深いことがわかりました。

日本刀の技術の確立はおおよそ平安中期頃とされています。

また日本においては、古代には手持ちの盾(置き盾は使われ続ける)と槍は存在していたものの使われなくなっています。(槍の復権は南北朝時代の菊池槍以降になります)

日本に数多く現存する合戦の絵巻を確認していただくとわかりますが、近代の軍隊と違い武士が持つ得物はばらばらなことが多いです。近所の神社に奉納された宇治川合戦絵巻では、薙刀、太刀が一番多く、比率的に太刀(長巻)の方が多く描かれていました。
太刀の描画は演出のためという人もいらっしゃるようですが、見栄えは明らかに長物に軍配が上がります。

槍だけがメインウエポンであったというのも、出典はわかりませんが当たらないのではないかと思います。

鎌倉時代までは朝鮮半島や唐土より鉄を輸入?していた形跡がありますが、以降は輸入に頼らず、砂鉄を使った独自の製法で作り続けられることになります。
また日本刀に関しては鎌倉期が最良とされています。(現代の刀工の中には鎌倉期の技術を復古した方もいるようです。)

防具に関しては平安期には、全金属の完全鎧(大鎧)の基本形式が確立し、鎌倉時代騎乗の上級武将が着用する鎧として普及しました。
基本は馬上で戦闘を想定しており、メインの武器は弓でした。
南北朝時代になり騎乗戦のみならず接近徒歩戦が盛んになってくると、大鎧の代わりに胴丸や腹巻きが用いられるようになり、室町になると西洋甲冑の影響を受けた当世具足が生まれた。このように、最初は重装であった鎧が時代を経るにつれて軽装化していきました。

日本においては早い時期に斬れ味の鋭い日本刀の技術を確立したため、防具については身軽さが生存の可能性を高めたのではと推察されます。

一方欧州ですが、一概に中世といっても中世は1000年間ありますので、どの時期を指すのかによって、技術も大分違いが出ますので、注意が必要です。便宜上中世を3つに区分けしたいと思います。
また日本と違って高質な鉄鉱石がとれましたので、日本とは違った発展の仕方を遂げました。

中世前期(500~1000年)

4世紀から11世紀にかけてアングロ・サクソン、サクソン人の語源となるスクラマサクスという全長40cm前後の直刀を利用していました。
当時は塊鉄炉が存在し、それで鉄を作っていました。
ロングソードの定義にはあてはまらないという意見もあります。

参考:塊鉄炉

中世盛期(1001~1300年)

高炉の発明により銑鉄が作れるようになり、鋳物製品も作れるようになりました。
よく知られるロングソードが生まれました。
初期のロングソードは100cmから130cmで真っ直ぐな両刃の剣で、幅広で肉厚な刃を持っています。軽量化のため剣中央のラインに窪みが存在するものが多い。(17世紀に誕生したブロードソードは、細身のレイピアより幅広という意味であって当時のロングソードとは別物です。)
焼入れ法という技術で作成され、刃の表面のみ硬化するものの、耐久性に乏しく、焼入れ部が剥がれれば曲がったりすることが多かった。

中世後期(1301~1500年)

ダマスカス鋼やウーツ鋼といった欧州以外の鋼の存在が知られる。
偶然での生産やるつぼ鋼などあったが、普遍化には至りませんでした。

ロングソードは徐々に質がよくなり耐久性も高まるにつれ細身になっていきました。

先にも述べましたが、欧州の鉄は高品質な鉄鉱石を材料としていたため、もともと不純物が少なく銑鉄もそこそこの品質が保て、鋼への技術的進歩を急ぐ必要性がなかったという事情もあります。

また、錬鉄技術が中世盛期以降に存在しましたので、鋼に近いレベルのものを職人は作ることができました。

ロングソードは叩きつけるもの

このように初期と後期では同じ名称であっても性能が別物と化しているロングソードにおいては、おそらく初期のもの(ドラクエやゼルダのような先端付近が幅広のもの)を想定しているのではないかと推察いたします。
前提となるロングソードが前期のものか後期のものかによって大きく違いますので、話が食い違ってきます。

欧州の場合は、前期ロングソードの切れ味と耐久性の問題もあり、暫くの間は手持ち盾が戦闘において有効に使えました。

欧州の中世区分は、日本と違い1500年までとなっていることも考慮すべき事項です。

欧州の場合、日本とは逆に徐々に防具は重装化し、中世末期にスーツアーマー(全身金属鎧)が登場し盾を持つ必要がなくなりました。
ロングソードやスーツアーマーは、近代になってからもしばらく発展を続け、マッチロックライフルの普遍化により衰退していきます。

結び

Youtubeなどで西洋のロングソードと日本刀の比較があったりしますが、日本刀は使い手の技術もものをいうので、刃筋が立っていない斬撃であれば、日本刀は脆いという判断になるでしょうし、刃筋が立った斬撃であれば日本刀は強いという判断になるでしょう。

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