先の大戦の勝者 第1回

インターネット記事で日本の対外戦争の戦績という話題で盛り上がっていました。

記事やコメントを見る限り、現在においても日本人は戦争の悲惨さだけしか習うことがなく、戦争はどのようなものなのかについて、義務教育では知るすべもなく、知識がない人がほとんどで、本や伝聞などの機会がない限り知ることがないのではないでしょうか。

戦争を防止するためにも、正しい知識を得る必要はあると考えています。

中には、要所要所の戦闘の勝敗よりも戦争目的を達成したか否かが勝利条件といった、極めてまともな意見を記載している人もいました。

先の大戦といえば第二次大戦です。京都においては先の大戦は応仁の乱というネタは置いといて、それぞれ参加した国家の戦争目的と戦争終結時に戦争目的が達成できているか否かを確認してみたいと思います。

死傷者でカウントするとソヴィエト連邦あたりが微妙になります。

 

戦後、勝利した国家は戦勝国として戦勝国の団体である国際連盟の常任理事国となっています。(中華民国から中華人民共和国、ソヴィエト連邦からロシアと継承しましたが中華人民共和国もロシアも常任理事国であっても戦勝国とは厳密に言えません。)

今回は、戦争については、主観を伴う善悪で判断することを避けます。

 

日本は戦争に負けたが戦争目的は達成できたとおっしゃる方もいます。

それも含めて再確認したいと思います。

 

 

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大日本帝国

1.帝国の自存自衛 失敗

2.有色人種の開放 成功

3.国体護持 成功

 

言わずもがな、自存自衛は失敗しました。

自存については、大日本帝国という政体は占領軍により強制的に変更させられ、憲法も改正させられました。米軍が駐屯し日本防衛の肩代わりを行うようになりました。

今般においては兵器やその他コストの高騰により、単独での自衛が非現実的な戦略になりはしましたが、自衛においても保全ができませんでした。

 

有色人種の開放については、直接日本が戦ったアジア地域、インドネシアやインド他複数の地域で独立を果たしました。最終的にはアジア地域以外でも実現しています。

軍政をひいたので独立させるつもりはなかった。フィリピンはもともと独立予定だったと反論する声もありますが、教育すら受けていない住民がいきなり国民になることはできません。半世紀ほど近代国家としての高等教育を施しても法治主義は根付かず、近代国民化できなかったという事例も存在します。フィリピンに関しては、ヘア・ホーズ・カッティング法に基づき独立準備はなされていたものの、独立後もフィリピン国内にアメリカ陸軍・海軍基地を置く前提でフィリピンの輸出品に関税割当を課すなど、完全な独立とはいい難い状況でした。純粋なフィリピン人大統領はドゥテルテ大統領が初です。

やりようによっては、もっと成果を上げる手法があったのではとは感じます。シンガポール陥落後すぐにインパール作戦やるなど。また、日本の戦争敗北によりアジアに共産国家が登場してしまったことや3つの国家が消滅してしまったことを踏まえると、完全な成功とは言えませんが、それを差し引いたとしても大きな功績があったことについては揺るぎない事実です。

 

国体護持については、成功とはしたものの事案が残っています。新皇室典範や皇族の財産上その他の特権廃止に関する指令などGHQによる圧力と指令があったため、いくつかの宮家が皇籍離脱せざるを得ませんでした。男系の後継者不足による国体の喪失の危険性は今でも存在し続けています。

 

 

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中華民国(重慶 蒋介石政権)

蒋介石政権の戦争目的は、中国共産党を殲滅し、日本軍を追い出して中国統一(清朝最大版図) 失敗

 

中国共産党との戦いは勝利目前であったものの、西安事件によって作戦順序の変更を余儀なくされました。

その後の支那事変早々に首都南京が陥落、重慶に籠もりました。移転した首都重慶は包囲され、終戦まで籠城することになります。

中国共産党との戦いは全戦全勝でしたが、支那派遣軍にはほとんど敗北。運良く英領インド帝国あるいは、ソヴィエトに亡命せずに済みました。

戦後、ソヴィエトの援助により満洲と日本軍の武器を接収した毛沢東率いる中国共産党との戦いに破れ、旧日本領の台湾に叩き出され、以降、台湾に居座る事になりました。

戦勝国となったものの、戦争目的は何一つ達成できませんでした。

 

 

大ドイツ国(ナチスドイツ)

 

アドルフ・ヒトラー政権のナチスドイツの戦争目的は、ヴェルサイユ体制の打破とドイツの生存権確立といわれています。

敗戦はしたものの結果的にヴェルサイユ体制を脱していますし、ヴァイマル共和国レベルの過酷さからは脱出できています。

戦争による人口減少もありますが、ドイツ人の生存は許されています。

単純な戦争目的のみで判定するとこのようになりますが、ドイツの東西分裂を含め、目的に掲げていなかった問題も多数あり、その後遺症は現在にも引きずられています。

 

つづく

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